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【博士/ポスドク/助教】アカデミアより企業研究者を選ぶべし!6つの理由を徹底解説【就職/転職】

【就職/転職】アカデミアよりも企業研究者を選ぶべき6つの理由【大学院・博士学生/ポスドク/助教】

現在、博士学生やポスドク、助教をしているという人の中には、このままアカデミックの世界に残るべきか?それとも企業就職すべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

  • 給料や福利厚生についてはやっぱり企業の方がいいんですよね?
  • アカデミックの自由度が高さは魅力的だよね
  • 他に考えるべき比較ポイントってあるのかな?

アカデミックと企業の違いを理解しておくことは、博士人材のキャリアを考える上で非常に重要になります。

そこで、博士課程まで進学したあなたのために、本記事ではアカデミアと企業の違いと、結論どちらで働くべきなのかを詳しく解説していきます。

ここで紹介するのは、大学助教と企業研究員をともに経験した著者が、実体験をもとに感じた違いです。

本記事を読めば、博士号を取得したあなたが最大限活躍できる環境を見定められるようになりますよ。

本記事の信頼性

わしまるは、博士号取得後、助教を経て企業研究員として働いています。

アカデミックと企業の良さ/悪さをともに経験してきた知見を本記事で紹介していきます。

大学研究者が企業就職/転職すべき理由

企業-大学

まず私自身の立場を明確にするために結論から申し上げます。

私は、博士課程取得後なるべく早い段階で企業就職すべきと考えています。

この結論に至った理由としては、以下の6点があります。

たかこさん

納得できそうなものもあれば、ぱっと見ではよくわからないものもありますね

わしまる

それでは、それぞれの理由について一つずつ解説していきますね

理由①:【給料】大学研究者の給料は企業に劣る

給料

研究者が企業就職/転職すべき理由の1つ目は「大学研究者の給料は企業に劣るから」です。

基本的に、大学よりも企業のほうが給料は高くなる傾向があります。

わしまる

これから示す数値データは、私自身や周りの研究者から聞いた話をもとにした値です

例えば27歳で博士号取得後、任期なしポジションに昇進するまでにポスドクや助教を10年間(~37歳)続けるとします。

その間のアカデミックでの給与は、年収350万円~650万円に収まる人が多いです。

一方企業では、年収400万円~900万円にもなります。

たかこさん

かなり大きな開きがありますね…

この大きな違いは、以下のような理由からもたらされます。

大学と企業の給料に差がある理由
  • 大学は裁量労働制を取るため残業代が発生しない(毎日サビ残状態)
  • 企業では年齢とともに安定して昇進するが、大学で准教授、教授に上がるためには熾烈な競争があり昇進が難しすぎる
  • 企業の福利厚生の手厚さが段違い

残業については後述しますが、ほとんどのアカデミックポジションは裁量労働制になっているため、いくら長時間働いても残業代が出ないという大きな問題を抱えています。

また、アカデミックでは昇進が非常に難しいという点も年収が上がらない要因です。

准教授の公募になると100倍を超える競争率になることも当たり前で、40歳になっても助教、ポスドクという人も珍しくありません。

たとえその熾烈な競争に打ち勝ったとしても、同年代の企業研究者の同等以下の給料に収まってしまいます。

わしまる

准教授で数年働いた後に企業に転職した先輩は「転職直後に年収が50%以上上がった」とおっしゃっていました…

企業では家賃手当や家族手当といった福利厚生も大変手厚く、若いうちから大きな資産を築く事ができます。

たかこさん

若いうちからお金を投資に回すことができれば、複利の力でさらに大きく資産を増やすことができますね

● 大学生こそ「つみたてNISA」を始めるべき理由3選

今まだ博士学生であれば、給付型奨学金、奨学金返還免除などの金銭獲得制度を利用できます。

しかし、ポスドク以上になるとそのような制度はほとんど受けられなくなるため、アカデミアの給料事情は非常に厳しいと言わざるを得ません。

このままだといつまで経っても教授の成果として吸収されてしまうと思った特任助教Cさんは、企業転職もしくは海外ポスドクポジションなどキャリア的に独自性を出すための道を探し始めます。そこでアカデミックと企業を比較した際、給料や手当、労働時間などで大きな差があることに改めて気づいたCさんは企業転職に絞ることにしました。

引用:ポスドク/助教はつらい?やばいと言われるアカデミアの末路

このように、残業代が出ない、昇進が困難、福利厚生が貧弱といった理由から、大学研究者の給料は企業と比較し圧倒的に不利になってしまうのです。

理由②:【残業】大学研究者の労働時間は異常レベル

残業

研究者が企業就職/転職すべき理由の2つ目は「大学研究者の労働時間は異常レベルだから」です。

理由①でも述べましたが、アカデミアの残業代問題は深刻であると感じるため、独立して説明しようと思います。

大学助教時代を振り返り「今思えばひどい状況だった」と感じるのは、ほとんどの先生方が夜中まで残業し、土日も休まず仕事をしていたにも関わらず、その間の残業代や休日出勤手当は全く支払われないという点です。

わしまる

取得が義務付けられている有給も、書類上消化しながらも大学に来て研究している人ばかりでした…

たかこさん

それはひどい。無法状態ですね…

このように、超長時間勤務しながらもその間の給料が全く出ないことが大きな年収の広がりの要因になっています。

わしまる

私も大学の頃とは比較にならないほど少ない残業時間にもかかわらず、残業代で月額5万円程度はもらえていますので、やはり企業の労働環境は素晴らしいなと感じています

理由③:【安定】任期付き問題は改善見込み無し

解雇

研究者が企業就職/転職すべき理由の3つ目は「任期付き問題の改善見込みが無いから」です。

大学は1~5年程度の任期付きポスドク、助教、准教授公募ばかりになっています。

せっかく異動してもすぐに次のポストを探さないといけないという悲惨な状況なのです。

教授もポスドクAさんのキャリアを気にすることはなく、最終的に任期切れで雇い止めになりました

引用:ポスドク/助教はつらい?やばいと言われるアカデミアの末路

この状況が問題であると長年叫ばれているにも関わらず、改善されないどころか更に悪化している状況です。

一方企業はと言うと、大学と比較すると長期間在籍することが可能であるとは言えます。

ただし、最近では「45歳定年制」や「新卒一括採用の廃止=中途・転職の当たり前化」が推し進められる話が増えており、いつまでも同じポジションにしがみつくことができない状況になってきています。

日本社会全般に暗い雰囲気が漂っている状況ですが、企業に務めている博士号取得者だけは逆にこの社会の変化の波を有利に働かすことができます

たかこさん

なぜ博士の人だけは有利になるのですか?

一つのポジションに長くいられなくなるということは、どの職場にいる人でもこれまで以上に転職する機会が増える可能性がある、ということです。

では、どのような人が転職に有利なのでしょうか?

企業が中途採用する際に注目するのは、その人がどのようなスキルを持ち、どのような実績を上げてきたか?という点です。

わしまる

求職者のスキル、実績をもとに、自社でも成果をあげてくれるかどうか、再現性の高い人物かどうか、を判断するんですね

博士号取得者は、まず博士号を持っているというだけで「一つの分野を極めた特化スキルを持っている」ことが証明されます。

また、基本的にはその特化スキルを生かした就職をしているはずですので、企業就職後もさらなるスキル向上、実績を上げている可能性が非常に高いです。

そのようなスキル、実績面で優れた能力を持つ博士号取得者は、今後ますます激化する転職市場でも評価され続ける人物であると言えるでしょう。

このように企業では高く評価され続ける博士ですが、大学では同じように優れた博士人材だらけの中で相変わらず熾烈な競争をしており、アカデミックの待遇が改善される兆しは全くと言ってよいほどありません

将来の時代変化を考えても、大学ポジションの安定性が企業のそれを上回ることは無いでしょう。

理由④:【雑務】教授に近づくほど雑務が激増

アイデア2

研究者が企業就職/転職すべき理由の4つ目は「教授に近づくほど雑務が激増するから」です。

熾烈な競争を勝ち抜いて大学の中で昇進し、准教授や教授になるとバラ色の研究生活が送れるか?と言われると、それは確実に「ノーである」と断言できます。

准教授、教授になると、助教のときとは比較にならない量の雑務が降り掛かってきます。

授業、研究費取得・管理、学生指導、事務対応、学会運営、教授会等の大学運営、研究室管理者、業者対応、査読、

などなど、挙げだすとキリがありません。

また、装置や物品、安全対策の管理のほか、学生の教育、学生実験、書類仕事などの雑用が非常に多いことも改めて大変だと気づきました。しかも、それらの雑用は准教授や教授に昇進するほど多くなっていくのです。

引用:ポスドク/助教はつらい?やばいと言われるアカデミアの末路

大きな予算をあてて秘書さんを雇ったとしても、研究に割けるほどの十分な時間は確保できません。

また、秘書雇用に必要なお金もいつまでも安定的に獲得できる保証はありません。

たかこさん

せっかく昇進しても研究に注力できないなんて、なんか悲しいですね…

一方で企業はどうかというと、十分な人数の事務員さんが配置されていますし、研究費管理や人材育成、装置設計・管理は専門の担当部門があり、企業研究員は40歳、50歳になっても研究に集中できる環境が整っています

このように、研究成果に直結しない雑務が少ない点も、企業就職を勧める理由になっています。

理由⑤:【自由】「大学のほうが自由」は一側面の考え方

撮影

研究者が企業就職/転職すべき理由の5つ目は「「大学のほうが自由」は一側面の考え方に過ぎないから」です。

「大学のほうが自由に研究ができて良い」という意見も、アカデミアと企業を比較した際によく聞く話です。

ただ、「大学が完全に自由に研究できるか?」と問われると、私はイエスとはとても言えません

たかこさん

なぜでしょうか?自由にテーマ設定できるのが大学の良さだと思っていたのですが…

確かに、自由に研究テーマが設定できるという意味では大学に軍配が上がるかもしれません。

しかし、その自由に設定したテーマを実行するためには、当たり前ですが自分で必要な額の研究費を取ってくる必要があります

研究費を取るためには、優れたアイデアだけではダメで、その実現性を担保するための実績も必要です。

つまり、新テーマの分野で十分な実績(論文、特許、学会発表)がなければ研究費を獲得することはできないということです。

ただ、研究テーマ的にも論文を量産できるような内容でなく、かと言って論文が出せそうな新規テーマを始めるための予算獲得や本人のモチベーション維持が難しいという状況が続きます。

引用:ポスドク/助教はつらい?やばいと言われるアカデミアの末路

たかこさん

なるほど。現テーマの延長であれば資金獲得もしやすいですが、全く新しいテーマだとそうもいかないということですね

また、たとえ研究費を取れたとしても、上記項目で挙げた雑務の多さのもとでは、十分な研究時間を確保することも難しいのです。

このような状態で、本当に「大学では自由に好きな研究テーマを遂行できる」と言えるでしょうか?

たしかに企業で全く新しい研究テーマを立ち上げることは難しいです。

しかし、社内にある既存の研究テーマの中から自分にあったテーマを見つけ、あるいは関連テーマを立ち上げて研究することはそれほど難しいことではなりません。

わしまる

最近では、激しいトレンド変化に対応するため、新テーマ創出のための種まき的施策に力を入れる企業も増えてきました

「自由」といっても様々な側面があり、企業でも大学でも完全に好きな研究を満足行くまで遂行できることは稀なのです。

理由⑥:【業績】大学業績は企業では評価されにくい

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研究者が企業就職/転職すべき理由の6つ目は「大学業績は企業では評価されにくいから」です。

最後に、転職する際に評価される業績についても触れておこうと思います

昇進するにしても転職するにしても、研究者にとっては研究業績は非常に重要になります。

企業では、主に特許やマネジメント能力が評価項目として見られます。

特許に関しては単純に出願件数によって実績を示すことができますし、マネジメントに関しても「どのような規模(人数、金額)のテーマをいくつ管理してきたか」というシンプルな指標でアピールすることができます。

これらは大学のアカデミアポジションにアプライする際にも十分に評価される指標です。

わしまる

多くの特許を書いていたり、大企業で管理職だった人が大学教授、准教授として転職してきた例をいくつも見てきました

しかし、企業/大学が逆になると話が変わってきます

大学から企業に就職する場合、

・論文を書ける能力と特許執筆できる能力は必ずしも同じでない

・「学生を何人面倒を見てきたか」では、企業でも通用するマネジメントできるかは判断が難しい

といった理由から、企業の人事が大学教員を正しく評価できない可能性が高くなります。

わしまる

大学から企業に転職した先輩も、「転職活動で作成した業務経歴書には、大学の業績をそのまま書いても評価されないから、企業向けに脚色しながら書き換えた」とおっしゃっていました

今後のキャリアの選択肢を広げるためにも、若いうちは広く業績として認められやすい企業での実績を積む。

そして、やはりアカデミアに戻りたいという強い気持ちがあれば准教授以上のポジションで大学に転職するという方法が賢い選択肢の一つだと言えます。

たかこさん

企業での実績は今後のキャリアに有利に働きやすいんですね

大学から企業への就職/転職を成功させるためのコツが以下の記事でくわしく紹介されています。

少しでも企業に興味をお持ちの方は是非参考にしてみてください。

【まとめ】企業vs大学では企業就職に軍配!

本記事では、企業とアカデミックを比較し、企業就職をおすすめする理由について詳しく解説してきました。

給料・待遇の高さや雑務の少なさ等から、企業は研究活動に集中できる環境が整っていると言えます。

ただ、私自身はアカデミックの魅力も十分に理解しているつもりでして、どうしてもアカデミックに行きたい人は一度企業で部長級にまで上り詰めてから准教授や教授で学術の世界に戻る選択肢が良いのではないかと思います。

わしまる

最初から最後まで大学に残り続けるにはどうしても多くのリスクと犠牲が伴ってしまいますね

博士持ちの方に絞った企業への就職/転職を成功させるためのコツが以下の記事で紹介されていますので、企業就職に興味がある方は是非ご覧ください。

以上で「研究者に企業就職をおすすめする理由」の解説は終わりです。

ご不明点等有りましたら、お気軽にツイッター「@Washimaru_UNIV」までご質問ください。

お疲れ様でした!