研究室で企業共同研究の担当者として指名されたけど「何か得することあるの?」と疑問に思っていませんか?
こんな風に、研究室における企業との共同研究に対してどちらかといえばネガティブな印象を持っている人も多いと思います。
そんなあなたのために、企業共同研究のメリットとデメリットを用意しました。
本記事を読めば、企業共同研究の良さや気をつけるべきポイントが理解でき、共同研究に対するモチベーションを高めることができますよ。
【大学生/大学院生】企業との共同研究のメリット
企業との共同研究のメリットには以下の6つがあります。
それではそれぞれのメリットについて1つずつ見ていきましょう
利点①:就職にも直結する強力なコネクションになる
企業共同研究のメリット1つ目は、「就職にも直結する強力なコネクションになること」です。
企業との共同研究を責任持って行うことで、就職にも繋がる非常に強いコネクションとなります。
企業との共同研究をこなし続けていると、企業の研究員の方から「卒業後はうちに入ってくれるんでしょ?」と冗談っぽく言われることがあります。
しかしそれもただの冗談には留まらず、本当に入りたい企業だった場合、その旨を話せば直接上の人事と交渉してくれることもあります。
私もまさにこの流れで大企業研究職の内定をいただくことができました
教授を通しての「コネ」ではなく、自分自身の働きを評価された上でのコネクションは強いものがありますね
利点②:就活ESや面接でガクチカとしてアピールできる
企業共同研究のメリット2つ目は、「就活ESや面接でガクチカとしてアピールできること」です。
共同研究企業が志望企業でなかった場合にも、共同研究での経験は就活で有利に働きます。
- 企業との共同研究において、週に一度の成果物報告資料の提出を2年間一度も欠かさずにやり遂げた ➞ 計画性、継続力、責任感のある人物
- 単に下請け的な働きでなく、自分なりの考えを報告会で1つ以上は提案することで、より良い研究成果に繋がった ➞ 自主性、提案力、積極性のある人物
- 大学でのアカデミックな側面と、企業での実用的・工業的側面をともに考慮した共同研究を進めてきた ➞ 企業での研究の進め方に理解のある人物
このように、企業との共同研究をやり抜いた実績は、エントリーシートや面接のガクチカとして自分の能力をアピールできる絶好のエピソードとなります。
最後の例である「アカデミックと実用化の違いへの理解」は、特に博士学生に対して企業の人事が一番気にしているポイントです。
なぜかと言うと、企業に入ってから「自分の専門テーマ以外担当したくない」、「利益度外視でもっと基礎的な追求をすべき」と強く主張する博士の方が多く、そのような人は企業にとって扱いづらいと感じるためです。
この企業側の懸念事項を、企業との共同研究の実績で全く問題ないとアピールすることができれば、採用への可能性が一気に高まるのです。
自分に合った志望企業を選び、経験者のアドバイスも参考にしながら自分自身の実績を適切にアピールすることができれば、短期間で優良企業から内定を得られる可能性が高まりますよ。
友達同士、研究室のメンバー同士でESの添削や面接練習をする人も多くいますが、やはり専門の就活経験者からのアドバイスの方が圧倒的に信頼できます。
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利点③:研究補助員としてアルバイト雇用されることも
企業共同研究のメリット3つ目は、「研究補助員としてアルバイト雇用される可能性があること」です。
これはなかなかレアなケースかも知れませんが、共同研究を真面目にこなしていると場合によってはその企業から直接アルバイト研究員として雇ってもらえることもあります。
もちろん、大学に所属し自分の研究もしながらという形ですので、自分の負担は増えずに給料を貰えるという形です。
ここまで直接的な雇用の例は少ないかも知れませんが、プロジェクトの中でリサーチングアシスタントとして給料をもらえる例はよくあります。
責任感のある人物だと積極的にアピールし、給料獲得のチャンスを確実に掴めるよう立ち回りましょう。
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利点④:企業研究者の考え方や研究の進め方が学べる
企業共同研究のメリット4つ目は、「企業研究者の考え方や研究の進め方が学べること」です。
共同研究を長年行ってきた中で、大学での研究と企業研究員の動きは共通するところもあれば、逆にここは違うなと気付いた点がいくつかありました。
例えば、大学では数年単位で時間がかかろうとも現象解明の追求に妥協しない部分がある一方で、企業ではある程度の考察・理解をした段階で次のステップに移り、スピーディに数値目標の達成へ向かいます。
他にも、やはり企業だと将来的に利益が出る手法・材料であるかを最重要視していたり、他企業への情報流出の確率を極力減らすために共同研究展開を最小限にしようとしたりといったことが感覚的にわかってきます。
実際に企業研究者と関わったからこそわかる知見ですね
これらはほんの一例でありこれに該当しない企業もあります
ただ、このような大学と企業との研究に対する考え方、取り組み方の違いを理解することは、自分が将来企業に行く上でもアカデミックで共同研究を取ってくる上でも非常に重要な知見になります。
また場合によっては、大学では到底導入できないような大量生産用設備や高級評価装置を見させてもらったり触らせてもらうといった非常に貴重な経験ができるのも、共同研究だからこその経験ではないかと思います。
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利点⑤:スケジュール調整能力や研究遂行能力が身につく
企業共同研究のメリット5つ目は、「スケジュール調整能力や研究遂行能力が身につくこと」です。
企業との共同研究は、通常の自分自身の研究とは異なり確実に決められた期限内に要求データを取得する必要があります。
また、その取得データもある程度しっかりとした考察のある成果となるよう試行錯誤しなければなりません。
そのような「スケジュール内に」、「形となる成果」を出し続ける活動を継続的に行うことで、自分自身のスケジュール調整能力や研究遂行能力が飛躍的に向上します。
研究室に入ったばかりのころは、慣れない仕事にも関わらず重めの仕事を要求されるため、戸惑い煩わしく思うこともあるかも知れません。
しかし、何回か対応していくうちに作業がルーティン化され、負担感少なくこなせるようになります。
このような「上から言われたことを卒なくこなす」能力は社会人にとっても必須のスキルです。
これが研究室にいる間に身につけられると大きなアドバンテージとなります。
研究室で多くの学生さんを見てきましたが、企業との共同研究有無で成長度合いに大きな差が生まれていました
ここで磨かれた計画的に物事を実行することのできる「スケジュール調整能力」や確実に成果を出し続けられる「研究遂行能力」は、研究室内においても学会発表や論文執筆、学会賞受賞など多くの業績獲得に直接結びつく能力です。
これらの稼いだ業績は、やがて授業料免除や返還不要の給付型奨学金の獲得や大学院の奨学金返還免除などに繋がる材料となります。
企業との共同研究をうまく利用し、あなたのスキルや業績、金銭獲得を目指しましょう。
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利点⑥:特許情報を共有してもらえる
企業共同研究のメリット6つ目は、「特許情報を共有してもらえること」です。
企業での研究活動の一番の成果物は「特許」になります。
そのため、自分たちの研究が特許になり得るか、実用化をする上で他社の特許侵害に当たらないかを継続的に調査しています。
大学ではそこまで力を入れてない研究室も多いですが、意外と自分の研究に使えそうな知見も公開されていることもあり、特許情報収集は重要です。
企業側としても、既にオープンになっている特許情報を共有しない理由はありませんので、自分から特許関連の話を聞くことで短時間で重要な知見を得られる可能性があります。
また、特許の調べ方や書き方も簡単に教えてもらえることもあり、将来的に自分が特許を書く際の参考になることもあります。
身近に情報源があることを有効に活用し、自らの知見を深めていきましょう。
【大学生/大学院生】企業との共同研究のデメリット
次に企業との共同研究のデメリットを3点紹介していきます。
欠点①:成果の対外発表(学会発表や論文執筆)が制限されることも
企業共同研究のデメリット1つ目は、「成果の対外発表が制限される可能性があること」です。
企業との共同研究では、たとえあなたが取得したデータだとしても、契約によって対外発表が制限されてしまう可能性があります。
企業側も競合に情報を知られたくなかったり、学会発表によって特許が通らなくなる可能性をなくす必要があるので仕方がない部分ですね。
「成果を秘匿しなければならない」という欠点を補うためには、例えば以下のような対策があります。
- 得られた成果そのものでなく、共同研究を通してあなたが得た知見や技術を生かした別テーマを並行して進める
- 利点③で紹介したようなアルバイト契約やRA雇用ができないか交渉する
- 学外に公開することのない後輩の卒論テーマにして、あなたの負担減と後輩指導を兼ねたテーマとして割り切る
etc…
完全なタダ働きでなく、あなたが少しでも利を取れるような立ち回りを考えてみましょう。
欠点②:研究室の細かなノウハウが吸収される
企業共同研究のデメリット2つ目は、「研究室の細かなノウハウが吸収されること」です。
これは特に企業就職を考えている博士学生向けのデメリットになります。
例えば、博士号取得後に同分野の企業研究者としての就職を考えている場合、競合になりうる共同研究先に自分の手の内を晒すことは大きな損失になります。
私もまさにこのデメリットに直面し、悩みながら共同研究を進めていました
かといって、一学生である自分の都合で技術を秘密にすることもできません。
今のノウハウをさらに改良した次の手を考え続け、共同研究企業がもっている技術のさらに上を走り続けるしかないです。
これはなかなかシビアな問題ですね…
大変だと思いますが、仕方がないと割り切って粛々と共同研究を進めていきましょう。
欠点③:モチベーション維持が難しい
企業共同研究のデメリット3つ目は、「モチベーション維持が難しいこと」です。
共同研究というプラスアルファの仕事である上、ここまで紹介したような研究成果の秘匿や手の内の公開といったデメリットがあり、共同研究はどうしてもモチベーション維持が難しいと感じる人も多いです。
ただ、やはり本記事で紹介したようなメリット(スキルや知見の獲得、就活の有利化)もありますので、これらの利点を得られる仕事だと割り切って研究を進めましょう。
どうしても負担感が強いと感じるようであれば、先輩や教授の先生に遠慮せずに相談しましょう。上の人達も仕事を押し付けている負い目が少なからずあるはずですので、対応を考えてくれると思います
【まとめ】企業共同研究を就活やスキル向上に繋げよう!
本記事では、企業との共同研究の実情とメリットとデメリットを紹介してきました。
「企業との共同研究」は自分の研究に関するスキルを向上させてくれたり、就活で能力アピールする絶好のエピソードとなります。
また、それらのスキル獲得によって研究業績をさらに稼ぐことで、「大学生だからこそ」利用できる給付奨学金や第一種奨学金の返還免除獲得に繋げられる可能性も高まります。
● 大学生におすすめのお金の稼ぎ方5選【給付型奨学金が最強です】
「企業との共同研究」を利用して成果稼ぎの好循環を作り出しましょう
以上で企業との共同研究のメリットに関する解説は終わりです。
ご不明点等有りましたら、お気軽にツイッター「@Washimaru_UNIV」までご質問ください。
お疲れ様でした!
\給付型奨学金や教科書高価売却など!/