本記事では、配属後に後悔しない研究室の選び方を分かりやすく解説します。
これから研究室を選ぶという大学生の中には、 以下のような悩みや不安を感じておられる方もいると思います。
本記事を読めば、重要な研究室の選びの基準がわかり、あなたが厳選した研究室で充実した研究生活を送ることができますよ。
研究業績を稼げる研究室を選ぼう!
後悔しない研究室選びのためには、「研究業績を多く稼げる研究室」を見つけ出すことが重要です。
そこまで研究活動に頑張ろうとは思ってないんですが…
研究活動に対するモチベーションは人それぞれ温度感が異なることでしょう。
- 苦労せず学位だけもらえたらいいや
- 研究費で国際学会(海外旅行)に行けたらいいなあ
- 就活で良い企業から内定をもらいたい
- 良い雰囲気の中で楽しく研究できたら十分
- 奨学金返還免除を絶対に獲得したい!
etc…
私はどれも立派なモチベーションで、優劣は無いと思っています。
これら人それぞれのモチベーションを全て満たす唯一の方法があります。
それが、冒頭で紹介した「研究業績を多く稼げる研究室を選ぶこと」です。
研究業績を多く稼げる研究室には、十分な実験(計算)リソース、潤沢な研究資金、優秀なスタッフが揃っていることが多いです。
そのような環境であれば、周りからのサポートによってある程度まとまった研究成果を出すことが非常に容易になります。
ある程度の研究成果があれば、容易に学位審査を突破できることはもちろん、研究成果をもとにした効果的な実績アピールにより就活を成功させたり、奨学金返還免除の可能性を引き上げることも可能です。
「研究業績を多く稼げる研究室」ということは、長時間労働のブラック研究室に行かないといけないんですかね…?
億単位の研究資金を持っていて研究時間が長時間になるような「トップレベル研究室」を選べ、と言っているわけではありません。
もしろそのような研究室では、論文や学会発表に求められる質が高すぎて業績数を稼げない場合が多いです。
超有名研究室で博士まで残ったのにも関わらず、なかなか論文が出せずに3年間で卒業しきれなかったり、業績数を稼げずに奨学金返還免除されなかったという話はよく聞きます。
次に紹介する研究室選びの数値基準をもとに、自分自身が研究業績を多く稼げそうな研究室選びをしましょう。
【数値基準】研究室の選び方
先程説明したように、研究室選びに失敗しないためには研究業績を多く稼げる研究室を見抜くことが重要になります。
「研究業績を多く稼げる研究室」の選別は、以下の8つの数値基準を参考にすることをオススメします。
- 研究室HP:最終更新日が6ヶ月以内
- 研究費:毎年 300~3000 万円 程度獲得
- 学会発表:各学生が年間 1 件以上
- 受賞:研究室全体で年間 3 件以上
- 論文:年間 5 報以上 ※インパクトファクターは不問
- 共著者数:1論文あたり 7 名以上
- 修士進学率: 7 割以上
- 博士学生数:日本人 1 人以上、留学生 1人 以上
それぞれの項目について詳しく説明していきますね
① 研究室HP:最終更新日が6ヶ月以内
後悔しない研究室選びの数値基準の1つ目は「研究室ホームページの最終更新日が6ヶ月以内であること」です。
まず一番わかりやすい指標として研究室HPの更新頻度が挙げられます。
それはすぐに確認できますよね。でもなぜそれだけで判断出来るんでしょうか?
ホームページが更新されていない研究室はアクティビティが低いことが多いためです。
アクティビティが高く定期的に論文や学会発表、受賞できるような研究室であれば、企業や大学との共同研究のチャンスを逃さないためや優秀な学生を呼び込むために、ホームページをしっかりと更新し対外的なアピールを欠かしません。
他にも、研究室HPを更新することのメリットには以下のようなものが挙げられます。
- 企業や大学との共同研究に繋がる
- 学内外の優秀な学生が入ってくれる
- 先生自身の昇進に繋がる
- 研究予算申請書などの業績リスト作成に役立つ
- 成果を出した学生のモチベーションがさらに高まる
- これらのメリットを活かし、さらに多くの業績獲得につながる
etc…
このように多くのメリットがあるにも関わらずHPを更新していないということは、研究に対するアクティビティが低く業績を全然獲得できていない研究室である可能性が高いです。
ですので、しっかりと研究室HPを更新している研究アクティビティの高い研究室を選びましょう。
少なくとも6ヶ月以上HPを更新していない研究室は足切りしてしまってもよいです。
② 研究費:毎年 300~3000 万円 程度獲得
後悔しない研究室選びの数値基準の2つ目は、「毎年300~3000万円程度の研究費を獲得していること」です。
全ての活動の源となる「研究費」も重要な選別基準になります。
獲得研究費は各研究室のHPに載っていることもありますが、科研費や日本の研究.com、researchmapなどで教授の名前を入れるとおおよその獲得金額を確認することが出来ます。
分野にも依りますが、年間300万円程度はないと消耗品や部屋代、学会参加時の旅費などに十分な金額を充てることができません。
特に、学会参加時の旅費を支払ってもらえるかは学生にとっては死活問題になりますので、研究室見学時に先輩に聞いてみましょう。
旅費は半額しか出さない、あるいは全て自腹というハズレ研究室もありますので注意してください。
逆に研究費が年間で億を超えるような研究室だと、求められる研究成果の質が極端に高くなり学会発表や論文の数を稼ぎにくくなる場合があります。
第一種奨学金の返還免除(大学院生向け)では、あなたが獲得した業績をもとに半額免除、全額免除が決まりますが、審査時の業績点数は論文や学会の質はほとんど考慮されません。
つまり、インパクトファクターの高い論文や権威のある学会かどうかは関係なく、いかに多くの業績”数”を稼げるかが重要なのです。
また、研究費が多すぎる研究室では、全体的に研究室メンバーのレベルが高すぎる場合が多いです。
このような研究室では、自発的に考えて研究するという自分自身の成長の機会が失われる可能性も出てきます。
「業績”数”を稼げるか」、「自発的に考えて研究できか」という観点から、研究費が3000万円/年を超えるような研究室は避けることをオススメします。
研究費が多すぎても良くないこともあるんですね
③ 学会発表:各学生が年間 1 件以上
後悔しない研究室選びの数値基準の3つ目は「所属学生が一人あたり年間1件以上学会発表していること」です。
ここから実際に学生が業績を稼げている研究室かどうかを見ていきましょう。
学会発表への参加は、数も稼ぎやすい上に受賞というダブルチャンスもあるため重要な活動の1つです。
各学生がコンスタントに成果を出し、少なくとも毎年1回以上学会発表していれば、業績を稼ぎやすい研究室と言えるでしょう。
また、余裕があれば学会の種類、規模にも注目してみて下さい。
大きな学会でないと意味がないということですか?
いえ、その逆なんです。小規模な学会にも積極的に参加できる雰囲気であれば多くの業績を稼ぎやすいんですよ
参加者が少ない小規模学会では、ライバルの数、レベルともに大規模大会よりも低くなりますので、受賞される確率が大きく高まります。
特に地方では大きな学会の支部講演会が開催されていることが多く、そのような学会は業績数稼ぎに最適です。
「本部大会以外の参加はありえない!」という研究室は避け、コンスタントに学会発表や受賞をしやすい研究室を選びましょう。
④ 受賞:研究室全体で年間 3 件以上
後悔しない研究室選びの数値基準の4つ目は「研究室で年間3件以上受賞していること」です。
実際に学会参加が受賞に結びついているかも確認しておきましょう。
受賞人数を確認することは、先程説明した「規模にこだわらず学会参加できるか?」という点の証明にもなります。
学会の規模が違うだけで受賞の難易度は大きく変わるため、コンスタントに受賞者が出ている研究者は小規模学会にも積極的に出ている可能性が高いです。
また学会賞というものは、時に指導教授の政治力が大きく反映されることもあります。
「今後もこの学会に参加してもらうために少なくとも一人はこの研究室から表彰しよう」
といった政治的力学が働き、不平等とも言える審査結果になることも実際にあるからです。
ひどい話ですね…
ただ、これが現実に起こる可能性があるのであれば逆にその政治力を積極的に利用していくべきです。
研究室の受賞リストを見て「毎年この学会から受賞されているなあ」というものがあれば、配属後の自分自身の受賞チャンスも高くなるということになります。
受賞者数をしっかりと確認し、受賞しやすい研究室を見定めましょう。
⑤ 論文:年間 5 報以上 ※インパクトファクターは不問
後悔しない研究室選びの数値基準の5つ目は「年間5報以上論文投稿していること」です。
最強の業績となる学術論文の投稿数も確実にチェックしておきましょう。
多くの論文が出ている研究室は、間違いなく研究アクティビティが高いと言い切れます。
研究室によっては「学生が実験とデータまとめだけ実施し、教授や助教が学生をファーストオーサーにして論文を書く」という量産体制が出来ていることもあるようです
奨学金返還免除の審査で、論文が一番多く業績点数を獲得できますが、その際、論文の質を計る指標であるインパクトファクターはほぼ考慮されません。
ですので、論文においても「質」ではなく「量」に注目して確認することが重要です。
奨学金返還免除で一番大きな業績ポイントとなる論文に関しても、HP情報をしっかりと確認しておきましょう。
⑥ 共著者数:1論文あたり 7 名以上
後悔しない研究室選びの数値基準の6つ目は「1論文あたりの共著者数が7名以上であること」です。
基本的に研究活動は、多くの人と関わり協力し合うことでコンスタントに成果を出し続けることができます。
様々な専門家が集まり知見を出し合うことで、効率よく新たな発見を生み出すことができるのです。
それにも関わらず論文等の共著者数が極端に少ない場合、「そもそも共同研究をほとんど実施していない」もしくは「論文の共著者として必要以上の貢献を要求されている」可能性があります。
共著論文も高く評価される業績になりますので、共著業績が稼ぎにくいと奨学金返還免除や給付奨学金獲得、就活成功などの利を得るにはかなり厳しいです。
どの程度の貢献度で共著者とするか、共同研究をどの程度積極的に進めていくべきかという考え方は教授それぞれによって違うことは重々承知していますので異議を唱えるわけではありません。
しかし、今から配属される研究室を選ぶ立場にある学生さんは、「どのような研究室であれば自分の業績を多く稼ぐことが出来るか?」という観点から、共著者の多い論文を出している研究室を選ぶことを強くおすすめします。
⑦ 修士進学率: 7 割以上
後悔しない研究室選びの数値基準の7つ目は「修士進学率が7割以上であること」です。
自分と近いテーマに携わる修士の先輩や同期、後輩が多ければ、共著論文や共著学会発表が獲得しやすくなりますので、修士進学率の高い研究室がおすすめです。
目安としてはおおよそB4の7割が進学を希望していれば十分な人数だと思います。
修士学生同士でお互いに手伝い合って、共著業績を荒稼ぎしていきましょう。
⑧ 博士学生数:日本人 1 人以上、留学生 1人 以上
後悔しない研究室選びの数値基準の8つ目は「日本人と留学生の博士学生がそれぞれ1名以上いること」です。
最後に、博士課程の日本人学生が所属しているかどうかも、研究室のアクティビティを計る上で重要な指標になります。
博士課程の学生は、学位取得のために多くの学会発表や論文執筆をする必要があります。
その人のもとで近いテーマの研究をすることができれば、継続的に共著業績を獲得しやすくなります。
また、丁寧な指導をしてもらうことで自分自身のファーストオーサー業績も稼ぐことができます。
実際に私が博士課程の間に指導していた2人の学生は、多くの業績を稼いで最終的に奨学金返還免除されていました
また外国人博士留学生がいることも大きなアドバンテージになります。
国際学会の英語予稿を確認してもらえますし、日本人の帯同が必要な実験の補助を行うことで共著業績が増える可能性もあります。
業績を挙げることを義務付けられている博士学生を上手く活用できるような研究室を選びましょう。
【あとがき】研究室選びが「成果稼ぎの好循環」の始まり!
本記事では、成果を量産するための研究室の選び方を紹介してきました。
大学院進学には、生涯年収の増加やスキル獲得などさまざまなメリットがあります。
しかし、あなたがどんなにやる気があっても、研究室に十分な研究リソースがないと十分な成長につながらない。
本記事を参考に配属研究室を厳選し、研究活動のスタートダッシュを決めましょう。
研究室選びに成功し業績が稼げるようになれば、給付型奨学金や奨学金返還免除と言った「大学生だからこそ」利用できる金銭獲得制度への採用確率が大きく向上します。
このような素晴らしい制度を有効活用して経済的な余裕が出てくると、勉強や研究、就職活動などにさらに集中して取り組むことができ、成果稼ぎの好循環を作ることができます。
「大学生だからこそ」利用できるサービスや制度を有効活用して、充実した大学生活にしていきましょう。
以上で研究室選びのポイント解説は終わりです。
ご不明点等有りましたら、お気軽にツイッター「@Washimaru_UNIV」までご質問ください。
お疲れ様でした!