第一種奨学金を借りておられる方の中には、返還免除を狙いたいけど業績点数が高いと言われる論文が到底書けそうもなくて悩んでいる人もいると思います。
いくら返還免除の確率が上がると言われても、自分が修士2年間でファーストオーサーで論文を書くなんて全く想像もつかないですよね。
そんなあなたのために、「第一著者論文なし」でも返還免除を勝ち取る方法を用意しました。
この記事で紹介するのは、修士課程で第一著者論文なしで返還免除を勝ち取った私自身と私の後輩3人の成果をもとにした、多くの大学院生に適用可能な再現性のあるノウハウです。
本記事を読めば、自分でも返還免除が狙えるかもという自信がつき、業績獲得に対して前向きに取り組めるようになりますよ。
奨学金返還免除は、修士 211万円/博士 439万円もの大金を獲得するチャンスのある「大学生だからこそ」利用可能な金銭獲得制度の一つです
【日本学生支援機構】奨学金返還免除にチャレンジしよう!
特に優れた業績による返還免除
本記事で対象とする奨学金の返還免除制度とは、日本学生支援機構 第一種奨学金(修士/博士向け)の「特に優れた業績による返還免除」のことです。
- 対象奨学金:第一種奨学金(貸与、無利子型)
- 対象学年:修士、博士課程学生(入学時採用以外の学生も対象)
- 貸与額:修士 8.8万円/月、博士 12.2万円/月
- 免除額:総貸与額の100%、もしくは50%
- 条件:正規修業年限以内に卒業(早期卒業も対象)、業績優秀者
修士でも8.8万円×12月×2年間≒211万円も貰える可能性があるんですね!
アルバイトをして毎月9万円稼ごうと思うと大変ですよね。周りの学生と同じ研究をしながら多額のお金がもらえるこの制度は本当にお得です
この奨学金返還免除で数百万円ものお金を手に入れられる可能性があるため、生涯年収やスキル獲得に大きなメリットがある大学院進学の負担を軽減してくれますよ。
業績優秀者の基準
「業績優秀者」とは、具体的にどのような人を指すのでしょうか?
「業績優秀者」とは、日本学生支援機構(JASSO)が定めた業績を在学中に多く獲得した学生のことを指します。
審査対象の業績は、論文執筆や学会発表、受賞、ティーチングアシスタントなどです。
それらの項目に比重をつけたポイントを足し合わせて、業績点数の高い人から全額免除/半額免除の採択者が決まります。
点数の高い人からだと上位大学の人たちばかり採択されるんじゃないですか…?
返還免除制度では各大学/研究科ごとに採用枠が割り振られているので、どの大学/研究科に所属していても十分にチャンスがあります。
つまり、例えばあなたが地方大学の工学部に所属していた場合、東◯大学、京○大学、◯阪大学といったトップレベルの大学、もしくは医学部などの偏差値の高い学生とは競争する枠が違うということです。
地方大学では、周りの学生の業績数が少なかったり、そもそも返還免除制度を狙う学生がほとんどいないので大きなチャンスがあるんですよ
ファーストオーサー論文なしで返還免除を勝ち取る方法
奨学金返還免除の概要についておさらいしたところで、本題となる「第一著者論文なしで返還免除を勝ち取る方法」について解説していきます。
確かに、ファーストオーサー論文の業績点数は高く設定されており、論文を自分で書くことで返還免除に近づくことは間違いありません。
ですが、以下の方策によってファーストオーサー論文なしでも返還免除を狙える可能性が格段に高まります。
これらの方策によって、私自身のみならず、私が指導していた後輩3人も返還免除となりましたので、非常に再現性の高い方策と言えます。
それでは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう
方法①:他人の研究を積極的に手伝う
第一著者論文なしで返還免除を獲得する方法の1つ目は「他人の研究を積極的に手伝うこと」です。
他の人の研究を手伝っていると、少ない労力で共著論文や共著学会発表の業績ポイントを着実に稼げます。
共著論文は意外と多くポイントが入るため、積極的に狙っていきたい業績の一つです。
特に、研究室内にいる博士学生の手伝いは積極的に行うことをオススメします。
博士課程の学生は、学位取得のために確実に論文を出す必要がありますし、国際学会などにも出て業績を稼ぎ続けなければいけません。
あなたが積極的に手伝うことで、その博士学生の共著業績を荒稼ぎすることができるのです。
なかなか戦略的な立ち回りですね…
また、あなたが育てた後輩の共著業績も大きな加算ポイントになります。
丁寧に後輩を指導してお互いに業績ポイントを稼げる仲間になることを目指しましょう。
- 共著業績を効率よく獲得できる
- 後輩の後輩への指導が楽になる
- 後輩からの信頼を得られる
- 自身の指導力が向上する
- 教えた事柄に対する自身の理解が深まる
博士学生、後輩、ポスドク、助教など、研究室内にいるメンバーを積極的にサポートして、共著業績を多く獲得していきましょう。
方法②:担当教員と仲良くする
第一著者論文なしで返還免除を獲得する方法の2つ目は「担当教員と仲良くすること」です。
あなたの担当教員との関係を良好に保つことも業績を稼ぎ続けること役立ちます。
担当教員、つまり少なくとも助教以上の立場を持っている先生は、これまでに非常に多くの優れた成果、業績を挙げてきた一人前の研究者です。
自分自身の論文も年に1報以上書くことは当たり前で、多くの共同研究も並行して進めている可能性が高いです。
継続的に業績を出し続ける教員との関係を良くしておくことで、その教員の研究に巻き込んでもらえる可能性が高くなり、共著論文、共著発表の機会が格段に増えます。
普段から情報共有をしっかりしておけば、あなたのメインの研究が行き詰まったときも的確なアイデアをもらえる可能性が高く、自分自身の業績も着実に増やすことができるでしょう。
周りの人をうまく巻き込んで多くの業績を稼いでいきましょう
方法③:できるだけ多くの国内学会に出る
第一著者論文なしで返還免除を獲得する方法の3つ目は「できるだけ多くの国内学会に出ること」です。
ここまでは、どちらかというと共著業績を稼ぐことにフォーカスしていましたが、こちらは自分自身の業績点数を稼ぐための方策です。
小さな学会で発表し続けることで、自分の研究テーマの発表に慣れてきて負担感がだんだんと小さくなっていきます。
それによってさらに発表が洗練され、学会発表賞やポスター賞といった表彰を受けられる可能性も高くなります。
特に地方大学などであれば、ファースト論文を何本も出している学生は極端に少ないので、最後の最後は国内学会1、2回分のポイント差で免除の採否が決まることも珍しくありません。
学会発表は大きな業績を挙げるための基礎が詰まっていますので、是非発表回数をこなして着実な業績稼ぎに繋げましょう。
方法④:研究室選びにこだわる(修士進学時に変えるのもあり)
第一著者論文なしで返還免除を獲得する方策の4つ目は「研究室選びにこだわること」です。
いくらあなたにやる気やスキルがあったとしても、それを活かせるような研究テーマを与えてもらえなかったり研究費が少なすぎると業績獲得が難しくなってしまいます。
残念なことに、学部4年から修士までの3年間で1回しか学会に出ないような研究室も多く存在しています。
実験も学会参加も論文掲載にもある程度のお金が必要です。
また、数十年以上前から研究され尽くされているといった理由から、そもそも研究テーマ的に新規知見を生み出すことが難しい場合もあります。
私はGPAが低いから人気の高い研究室には入れそうにありません…
必ずしも、人気が高い=業績を稼ぎやすい研究室とは限らないのですよ
単に学科の評判、人気だけで希望研究室を判断するのは大変危険です。
特に地方大学や理工学部だと「いかに楽に研究活動をやり過ごし、ほどほどの企業に就職できるか?」を重要視する学生が多く、その判断基準によって人気が決まっていることがあるからです。
必ず自分自身の目でHPを確認したり研究室紹介で質問をし、自分が業績を出しやすい環境であるかを確認することが重要です。
と言いつつも、私はGPAが低すぎたために15研究室あるうちの第10希望の研究室に配属されました…。
結果的に研究成果の出しやすい研究室だったので良かったですが、必ずしも「人気のある研究室=業績を出しやすい研究室」というわけではないということですね。
研究室選びに重要なポイントをしっかりと押さえて、業績獲得のための最初の第一歩を踏み出しましょう。
- 研究室HP:最終更新日が6ヶ月以内
- 研究費:毎年 300~3000 万円 程度獲得
- 学会発表:各学生が年間 1 件以上
- 受賞:研究室全体で年間 3 件以上
- 論文:年間 5 報以上 ※インパクトファクターは不問
- 共著者数:1論文あたり 7 名以上
- 修士進学率: 7 割以上
- 博士学生数:日本人 1 人以上、留学生 1人 以上
もうすでにハズレ研究室に配属されてしまったという人はどうすればいいのですか?
そんな人は、修士進学時に研究室の変更も検討してみましょう
担当教授や学科長あたりに相談することで、学内であれば試験無しで研究室移動できる可能性もあります。
もしもまだ院試前でしたら、最初から他大学を選択肢に入れて受験すると確実ですね。
すべての業績の土台となる研究室選びには徹底的にこだわりましょう。
方法⑤:博士課程への進学を考えてみる
第一著者論文なしで返還免除を獲得する方策の5つ目は「博士課程への進学を考えてみること」です。
これは大きな人生の選択にはなりますが、返還免除獲得を狙う上では非常に有効な策となります。
業績点数で示したように、博士進学は英語論文1報分と同程度の価値を持つため、博士課程に進学するだけで周りの学生のほとんどを業績点数で出し抜くことができます。
私自身も、修士課程時にはファーストオーサー論文無し、国際会議発表も1回のみでしたが、博士進学を決めていたことで全額免除されました
また、研究室の教授等のスタッフも、博士進学の可能性がある貴重な人材に対しては手厚いサポートをしてくれます。
学会発表に出やすい環境を整えたり、うまく仕事を振って多くの共著論文に入れるようにマネジメントするなど、次々と業績ポイントが貯まる環境になるでしょう。
最終的には修士で就職するとしても、早い段階で博士進学を匂わせておくと業績点数を稼ぎやすくなりますよ。
最後の手段として博士進学という選択肢もあるんだということを頭の片隅に入れておいてもよいでしょう。
【まとめ】周りの信頼を積み重ねて共著業績を稼ごう!
本記事では、ファーストオーサー論文なしで返還免除を勝ち取る方策を紹介しました。
本記事全体の結論としましては、「周りをうまく巻き込みながら小さな業績を量産すべし」ということになります。
一人で大きな成果をあげようと無理はせず、自分にできることから少しずつ取り組んでいくことで、論文なしでの返還免除獲得に大きく近づくのです。
また、奨学金返還免除制度は給付型奨学金と併用できる場合が多いです。
「大学生だからこそ」利用できる金銭獲得制度をうまく活用して、充実した大学生活にしていきましょう。
以上で、ファーストオーサー論文なしで返還免除を勝ち取る方策の紹介は終わりです。
ご不明点等有りましたら、お気軽にツイッター「@Washimaru_UNIV」までご質問ください。
お疲れ様でした!
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